その後の話

転職することに決めた。実はすでに次の職場から内定ももらっている。

 

前回の記事をアップしてしばらくした頃に、体調はもう戻ったのだから前の部署に戻るように言われたのだ。

まあ、実際人手があるわけではないし、もともとそちらの部署で働くことを前提に人員配置も決められていたのだから、仕方のないことだ。

仕方のないことだとわかっていても、涙が止まらなかった。

さいわいわかってくれるひとはたくさんいて、それは本人のためにならないと進言してくれるひともいた。それでも決まったものは決まったものだからと言われ、心底がっかりしている自分がいた。

 

無理せず、また働くしかないか、と無理やり納得させながら、あと何年こうして頑張らないといけないのだろうか、と思った。

端的に言うと、疲れてしまったのだと思う。

 

きっかけと言えるものは特になかった。

なんとなく、次に働けるとしたらどんなところがあるだろうか、と求人をチェックするようになったが、実際に動くのは面倒だなあという気持ちも正直あったので、スマホで求人サイトを眺めながら、ふーん、と思っている時間のほうが長い。

休日に、転職エージェントについて調べていて、流れで登録してしまった。

以前転職エージェントは使ったことがあって、ただそのときは結局退職を思いとどまり、さらにエージェントからの頻繁な電話にうんざりしたことを思い出し、やっちまったな、と思ったが、まあそのままバックレてもいいわけだし(全然よくないが)とあまり深く考えないようにしていた。

何回か知らない電話番号から着信があったあとで、メールが届いた。詳細についてヒアリングしたいので、電話できる日時を教えてほしいと書いてあり、わたしは正直に今すぐどうしても決めたいわけではないことを伝え、休日(わたしの仕事は平日に休みもあるのだ)がいつか答えた。

そこからなんとなく憂鬱になってきて、ああ、面倒くさいことになってきたなあ、とぼんやり思っていた。

ヒアリングはスムーズに進み、急いで探しているわけではないことを再度伝えた。

しかし、その日の午後に、担当者からまた電話がかかってきた。

曰く、わたしの条件と合致する職場があり、試しにアタック(?)してみたところ、ぜひ面接をしたいと話しているとのことだった。

少し悩んだが、まあ1社目で決まることはあまりないし、面接は久しぶりなので慣れておいたほうがいいだろうと思い、とりあえずで受けることにした。

一週間後の同じ曜日に、緊張しながら面接に挑んだ。職場は少し今のところよりは遠くなるが、駐車場もきちんとあり、働いているひとたちの雰囲気もとてもよかった。

面接では比較的思っていることをきちんと話すことができたように思う。

なんとなく、高評価を受けている自覚があった。

その後、エージェントと電話で話し合い、確認事項を伝え、それでも良いのならばわたしは入職したいと思うと話した。

 

そして、なんとその日のうちに内定の連絡がきたのだ。

 

さすがに展開が早すぎて、エージェントも戸惑っていたが、決まってしまったものはどうしようもない。ただ、わたしは退職の意思をまだ現職場に伝えていないので、入職日だけはこちらにあわせていただきたいと正直に話し、折り返しを待った。

もちろん構わないと返答があったのもその日のうちのことだった。

これはもうご縁があったということだ、と感じた。

翌日、直属の上司に洗いざらい全部を報告した。

 

退職届を出し、ヒアリングも行われたが、次が決まっている以上引き留めることはできないというのは上司も感じているようだった。

今は受理の連絡を待っている。そして、わたしの仕事を誰に引き継ぐのか、同僚たちにはいつ伝えられるのか、そればかり戦々恐々としている。きっと、引き継ぎする相手なんか来ないのだと思う。

 

このところ続いていた不眠や過度な緊張は、退職届を出したとたんに噓のように消失した。

こんな簡単に済む話だったのか、とばかばかしく思うときもある。

退職予定日まであと3か月近くあるが、目下気になるのは退職金がどれくらい出るのか、有給は少しくらいは使ってもいいものだろうか、などの楽しいことばかりだ。

できれば穏便に退職したいと考えている。訴えたら勝てそうなことをたくさん経験してきたけれど、何もかもが苦痛ばかりではなかったから。

 

6年半、いろんなことがあった。

たくさんのひとたちを見送ってきた。

わたしのことも、その中のひとりとして今後誰かが思い出すかもしれない。

ただ、わたしはこれからもまだまだ長く働かないといけないのだ。

それには、今の職場ではきっと無理だと思った。きちんとキャリアを積みたいと思った。

 

穏やかに、残りの日々を過ごしていけたらと願っている。